米国経済は今どの段階?景気サイクルで見る投資戦略のポイント

③米国市場動向

相場サイクルについて説明します。

株式市場には大きく4つのサイクルがあり、それぞれ異なる局面で株価の動きが異なります。このサイクルを理解することで、適切な投資戦略を立てることが可能です。

1. 金融相場

金融相場は、中央銀行が景気刺激のために金利を引き下げたり、金融緩和を行うことによって始まる局面です。金利が低くなることで、企業は借り入れがしやすくなり、投資活動が活発化します。これにより、特に成長性が高いIT関連や新興企業(グロース株)の株価が上昇しやすくなります。また、不動産セクターや景気敏感セクター(鉄鋼、化学、金融など)も低金利の恩恵を受けやすい局面です。

特徴的なセクター

  • グロース株(IT、バイオなど)
  • 不動産、金融、鉄鋼、化学といった景気敏感セクター

2. 業績相場

業績相場では、企業の業績回復が株価を牽引します。この局面は、金融相場で始まった景気回復が進行し、企業が利益を上げやすくなる時期です。

景気が拡大すると、消費者の支出も増え、企業の売上や利益が向上します。このため、自動車や商社、新興企業などが好調となり、割安株(バリュー株)も上昇しやすくなります。

特徴的なセクター

  • 好業績銘柄、新興銘柄
  • 自動車、商社、割安株(バリュー株)

3. 逆金融相場

逆金融相場は、景気や企業業績の拡大が続いているものの、中央銀行がインフレ抑制のために金融引き締めを行う局面です。

金利が上昇し、借入コストが増加するため、企業の利益成長は鈍化し、株価は下落し始めます。

この時期には、景気に敏感なセクターの株価が下がりやすくなりますが、逆に生活必需品やインフラ、電気・ガスなどのディフェンシブセクターが強いパフォーマンスを示します。

また、無借金経営を行う企業など、財務が健全な企業も注目されます。

特徴的なセクター

  • 生活必需品、インフラ(電気・ガス)
  • 財務が安定している企業(低PER、低PBR、高配当)

4. 逆業績相場

逆業績相場は、景気が後退し、企業の業績や消費が低迷する局面です。

この時期には、金融引き締めの影響で景気が悪化し、株価は本格的な下落トレンドに入ります。

逆業績相場では、ディフェンシブセクター(医薬品、インフラ、生活必需品)が引き続き強いパフォーマンスを示します。

また、高金利で利益を得られる銀行や保険会社などの金融セクターも注目されます。

特徴的なセクター

  • 医薬品、インフラ、生活必需品
  • 金融セクター(銀行、保険)

中間反発・反落局面

各相場局面の間では、一時的な反発や反落が見られることがあります。例えば、逆金融相場と逆業績相場の間では一時的な反発(リバウンド)が、金融相場と業績相場の間では一時的な反落が起こりやすいです。

相場は、景気と金利の動向により4つの局面で循環します。

それぞれの局面に応じた適切な投資戦略を取ることが、成功への鍵となります。

特に、中央銀行の金融政策や主要経済指標の動向を注視し、どの局面にいるのかを判断することが重要です。

投資の判断を行う際には、これらのサイクルに基づいたセクターローテーション戦略を意識し、景気の局面に応じたポートフォリオの調整を心がけることが成功のポイントです。

では、今米国経済はどの位置にいるか?が気になりますよね。

現在の米国経済は、逆金融相場に近い段階にあると考えられます。

この段階では、景気がまだ成長しているものの、米連邦準備制度(FRB)がインフレを抑制するために金融引き締めを続けており、金利の上昇が企業業績や消費者支出に影響を与え始めています。

その結果、企業の利益成長が鈍化し、景気後退の兆しが見え始めているのが特徴です。

逆金融相場の特徴

逆金融相場では、景気に敏感なセクター(たとえば、自動車や産業関連)が下落しやすくなりますが、一方で生活必需品やインフラ、財務が安定している企業は比較的強いパフォーマンスを見せます。

また、無借金経営を行う企業や公共サービス関連の株も、金利が高い時期でも安定した動きをする傾向にあります。

金利引き下げ後の展開:業績相場へ

金利の引き下げが始まると、米国経済は業績相場へ移行する可能性が高まります。

この段階では、FRBが金融緩和を行い、企業の借入コストが下がることで投資や消費が活発化し、株価の上昇が期待されます。

特に、自動車や商社、新興企業といった成長性の高いセクターが恩恵を受けやすくなり、バリュー株も注目されるでしょう。

逆業績相場への移行

逆金融相場が進み、リセッションが本格化すると、経済は逆業績相場に移行します。

この局面では、企業業績が大きく悪化し、全体的な株価が下落します。

しかし、ディフェンシブセクター(医薬品、インフラ、生活必需品)や金融セクターは、比較的強い動きを見せることが予想されます。

このように、現在の米国経済は逆金融相場に位置しており、今後の金利動向によって業績相場への移行や、リセッションの進行が予測されます。


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