Rocket Lab(RKLB)を徹底分析|話題の宇宙株を「買う前に見るべき5つのポイント」

航空宇宙分野

「宇宙株がすごいらしい」

「Rocket Lab、今が押し目買いのチャンスらしい」

最近、SNSや投資系ニュースでRocket Lab(ロケットラボ、NASDAQ:RKLB)の名前を目にすることが増えました。

こういう話題の銘柄を見ると、

「今から買っても遅くない?」

「乗り遅れたくない」

と気になってしまいます。

その気持ちは、僕にもよく分かります。

最近私の昔のメンターとして仰いでいた方が宇宙産業のベンチャーに転職して、やはり次は宇宙産業か・・・と僕自身も感じているところです。

ただ、最初にお伝えしておきます。

この記事では、Rocket Labが「買い」か「売り」かという結論は出しません。

その代わり、

「そもそも何で稼いでいる会社なのか」

「なぜ、これほど期待されているのか」

「その期待が外れるとしたら、何が原因なのか」

を公開されている決算資料などから整理します。

そして最後に、僕自身が個別株を見るときに重視しているポイントにRocket Labを当てはめてみます。

誰かの「買い」に乗るのではなく、自分で確かめてから決める。

その練習として読んでもらえればと思います。

Rocket Labはどんな会社?

Rocket Labは、2006年にニュージーランドでPeter Beck(ピーター・ベック)氏が創業した宇宙企業です。

現在の本社は米国カリフォルニア州にあり、NASDAQ市場に上場しています。

もともとは、小型人工衛星を宇宙へ運ぶロケット「Electron(エレクトロン)」で知られるようになりました。

ただ、現在のRocket Labを**「ロケットを飛ばす会社」だけだと思っていると、この会社の面白さを見落とします。**

現在はロケットだけでなく、

  • 人工衛星
  • 太陽電池
  • リアクションホイールなどの姿勢制御装置
  • スタートラッカー
  • フライトソフトウェア
  • その他の宇宙機関連部品

まで手掛けています。

NASAや米国政府・防衛関連の案件も受注しています。

さらに、再使用型の中型ロケット「Neutron(ニュートロン)」を開発中です。

一言で表現すると、

「衛星をつくり、宇宙へ運び、その先の運用まで手掛ける会社」

へ変わろうとしています。

直近の数字|売上は急成長。ただし、まだ赤字

まずは「宇宙産業は将来伸びそう」という夢ではなく、現在の数字を見てみます。

2026年4〜6月期の主な数字は次の通りです。

項目2026年4〜6月期前年同期比
売上高約2億3,400万ドル+62%
受注残高約23億6,000万ドル+137%
純損益約4,930万ドルの赤字赤字幅縮小
1株当たり損益0.08ドルの赤字前年同期0.13ドルの赤字

売上高、受注残高ともに過去最高です。

特に注目したいのが**受注残高(Backlog)**です。

これは簡単に言えば、

「すでに契約しているけれど、まだ売上として計上されていない仕事」

です。

23億6,000万ドルまで積み上がっているため、現在の成長が単なる期待だけではなく、実際の受注にも表れていることが分かります。

一方で、最終損益はまだ赤字です。

つまり現在のRocket Labは、

売上は急成長している。しかし、まだ利益を安定して生み出す段階には達していない。

そんな会社です。

なぜRocket Labはこれほど注目されているのか

大きく3つの理由があります。

理由1|売上と受注が急速に伸びている

まずは先ほどの数字です。

売上高は前年同期比62%増。

受注残高は137%増。

しかもRocket Labの成長は、ロケット打ち上げだけによるものではありません。

人工衛星や宇宙機関連部品を扱うSpace Systems事業も大きくなっています。

つまり、

「Electronが何回飛んだか」だけを見る会社ではなくなってきている

ということです。

理由2|新型ロケット「Neutron」への期待

2つ目がNeutronです。

Neutronは、現在の主力であるElectronより大きな荷物を運べるように設計された中型ロケットです。

第1段の再使用も想定されています。

これが重要なのは、単純に「大きなロケットも持てる」からではありません。

Neutronが商業化できれば、Rocket Labが参加できる打ち上げ市場そのものが大きく広がります。

大型の衛星群や政府・防衛関連など、これまでElectronでは狙いにくかった案件も対象になります。

つまり、

Neutronの成功は、Rocket Labの獲得可能市場そのものを広げる可能性がある。

これが市場から大きな期待を集めている理由です。

理由3|Iridium買収で「通信サービス」まで取り込もうとしている

そして、僕が特に興味深いと思っているのがIridium Communications(イリジウム)の買収です。

Rocket Labは2026年6月、衛星通信会社Iridiumを企業価値約80億ドルで買収することで合意しました。

Iridiumは66機の衛星ネットワークを運営し、航空、海運、政府機関などへ衛星通信サービスを提供しています。

この買収が完了すると、Rocket Labの事業構造はかなり変わります。

Rocket Labが狙う「宇宙の垂直統合」

Rocket Labの戦略を単純化すると、こうなります。

宇宙機の部品をつくる

↓

衛星をつくる

↓

自社ロケットで宇宙へ運ぶ

↓

衛星を運用する

↓

通信サービスから継続的に収益を得る

これまでのRocket Labは、「作る」「運ぶ」という部分を拡大してきました。

Iridiumが加われば、その先の**「運用して稼ぐ」**ところまで入ってきます。

これはかなり大きな違いです。

なぜ「継続収益」が重要なのか

ロケット打ち上げビジネスは、大きな案件を取れる一方、どうしても売上が案件のタイミングに左右されます。

ロケットを打ち上げなければ、その打ち上げの売上は発生しません。

一方、衛星通信サービスは契約が続けば、継続的な収益を生みます。

つまりIridium買収には、

案件型の宇宙企業から、継続収益も持つ宇宙インフラ企業へ

Rocket Labを変える可能性があります。

個人的には、単に「売上の大きな会社を買う」というより、この事業構造の変化を注目して見ています。

ただし、良い話ばかりではない

ここからが重要です。

話題になっている成長株ほど、どうしても良いニュースばかり目に入ります。

だから僕は、個別株を見るときには**「何がうまくいかない可能性があるのか」**を先に確認するようにしています。

リスク1|Neutronはまだ飛んでいない

最大のリスクの一つがNeutronです。

将来の成長ストーリーの重要な部分を担っていますが、まだ商業運用の実績がありません。

2026年1月の試験では第1段タンクが破損し、スケジュールにも遅れが出ています。

新型ロケットの開発で遅延やトラブルが起きること自体は珍しくありません。

問題は、

Rocket Labに対する期待のかなりの部分が、Neutronの成功を前提としていること

です。

期待が高い会社ほど、その期待が崩れたときの株価への影響も大きくなります。

リスク2|売上は伸びているが、まだ赤字

Rocket Labは急成長しています。

しかし、2026年4〜6月期も最終損益は赤字です。

成長企業なので、研究開発や設備などへ積極的に投資すること自体は不自然ではありません。

ただし、

売上が増えていることと、株主に利益をもたらせる会社になっていることは別問題

です。

いつ、どのように利益やキャッシュフローにつながっていくのか。

ここは継続的に確認する必要があります。

リスク3|株式の希薄化

ここは成長株を見るときに、初心者ほど見落としやすいポイントです。

Rocket Labの発行済株式数は増加しています。

さらにIridium買収の資金確保のため、2026年9月には市場で新株を発行して資金を調達しました。

株式数が増えると、既存株主が持っている会社全体に対する1株当たりの持ち分は薄くなります。

これを「希薄化」と呼びます。

ただし、

「株式数が増えた=悪い会社」

と単純に判断するのも違います。

重要なのは、

希薄化によって調達した資金を使い、それ以上の企業価値を将来生み出せるのか。

Rocket Labの場合、Iridium買収がその答えの一つになります。

リスク4|80億ドル規模の大型買収

Iridium買収は、Rocket Labにとって過去最大規模の買収です。

しかも単純に似た会社を買うわけではありません。

Rocket Labが得意としてきたロケットや宇宙機製造に、通信サービスという新しい事業が加わります。

戦略的には面白い。

でも、

買収することと、買収後にうまく経営することは別です。

企業統合が計画通り進むか。

期待した相乗効果が出るか。

買収に伴う負担が大きくなりすぎないか。

ここは今後数年かけて答えが出てくる部分でしょう。

リスク5|政府需要への依存

2026年上半期、Rocket Labの売上の約42%は政府顧客からのものでした。

宇宙と安全保障の重要性が高まっていることを考えれば、これは強みにもなります。

一方、政府案件には、

予算変更、契約時期のずれ、政権・政策の変更などの影響を受ける可能性があります。

政府案件が多い=売上が完全に安定する

とは限りません。

Rocket Labを「5つのポイント」で見てみる

ここからが、この記事で一番伝えたいところです。

Rocket Labだけでなく、僕が個別株を見るときに確認したい基本項目に当てはめてみます。

項目見るポイントRocket Labの現状
売上高成長しているか◎ 前年同期比62%増
利益本業が利益につながっているか△ まだ赤字
EPS1株当たり利益が改善しているか△ 赤字だが改善
株式数希薄化していないか△ 増加。資金の使い道も確認が必要
キャッシュフロー本業で現金を生み出せているか今後も継続確認

ここで見えてくるのは、

Rocket Labは「現在の利益」で評価されている会社ではない

ということです。

むしろ、

将来どれだけ大きな会社になるかという期待に対して、投資家がお金を払っている会社

と考えた方が分かりやすいでしょう。

だからこそ、こうした会社は期待が現実になれば大きく成長する可能性がある一方、期待が崩れれば株価も大きく動きます。

「今から買って大丈夫?」と思ったら、この5つを自分に聞く

最後に、僕自身が話題の個別株を見るときに考えたい質問をRocket Labに当てはめてみます。

1.その会社が何で稼いでいるか、一言で説明できるか?

Rocket Labなら、

「宇宙機や衛星をつくり、ロケットで運び、将来的には衛星通信の運用まで手掛けようとしている会社」

くらいまで説明できれば、かなり理解できています。

説明できない会社の株を買うのは、僕なら避けます。

2.現在の数字と、将来への期待を分けて考えているか?

Rocket Labの場合、

「売上62%増」

は現在確認できる事実です。

一方、

「Neutronが成功して大きな市場を取る」

は将来への期待です。

どちらも重要ですが、同じものではありません。

事実と期待を分ける。

成長株を見るときには、とても重要だと思っています。

3.なぜ、自分は今この会社を知ったのか?

SNSで急に話題になった。

株価が大きく上昇した。

有名投資家が紹介した。

「次の○○」と言われ始めた。

こういうときほど、一度立ち止まります。

自分がその会社を知った時点で、すでに多くの投資家が同じ期待を持っている可能性があるからです。

良い会社を見つけることと、良い価格で買うことは別です。

4.株価が半分になっても、保有理由を説明できるか?

Rocket Labのような成長株では、大きな値動きが起きる可能性があります。

もし株価が50%下落したとき、

「怖いから売る」

しか判断基準がないのであれば、そもそも投資額が大きすぎるのかもしれません。

逆に、

「この条件が崩れていないから保有する」

「この条件が崩れたから売却する」

と考えられるなら、株価以外の判断軸を持てています。

5.この会社がなくても、自分の資産形成は成立するか?

僕は、これが一番重要だと思っています。

Rocket Labが10倍にならなくても。

Neutronが失敗しても。

宇宙株ブームが終わっても。

自分と家族の将来設計には大きな影響がない。

個別株には、そのくらいの距離感で向き合いたいと思っています。

一社の成功に、自分の人生の計画まで預ける必要はありません。

HIROの見方|僕が面白いと思うのは「ロケット」ではない

Rocket Labという会社を調べていて、僕が一番面白いと思ったのは、

「ロケットが飛ぶ」

という話だけではありません。

むしろ、

この会社が何になろうとしているのか

です。

部品をつくる。

衛星をつくる。

ロケットで運ぶ。

宇宙で運用する。

そして通信サービスから継続的な収益を得る。

もしこの流れが完成すれば、Rocket Labは単なるロケット会社とはかなり違う企業になります。

だから僕が今後見るのは、株価そのものより、

この垂直統合のストーリーが、本当に現実になっていくか。

です。

今後チェックしたい5つのこと

Rocket Labを今後追いかけるなら、僕は次の5つを確認します。

  1. Neutronの開発状況
    さらなる延期や技術的な問題が起きていないか。
  2. 売上高と受注残高
    現在の高い成長率と需要が続いているか。
  3. 利益とキャッシュフロー
    売上成長が少しずつ「稼ぐ力」につながっているか。
  4. Iridium買収とその後の統合
    買収が予定通り完了し、期待した相乗効果が出ているか。
  5. 株式数の増加
    成長のための資金調達と、株主の希薄化のバランスがどうなっているか。

まとめ|「宇宙株だから買う」ではなく、自分で投資仮説を持つ

Rocket Labには、確かに魅力的な成長ストーリーがあります。

売上と受注は大きく伸びている。

Neutronが成功すれば、狙える市場が広がる。

Iridium買収が完了すれば、通信サービスという継続収益も加わる可能性がある。

一方で、

Neutronはまだ開発途中。

会社はまだ赤字。

株式の希薄化も進んでいる。

そして大型買収が成功する保証もありません。

だから、

「Rocket Labは買いですか?」

という質問より、

「自分は何を期待してこの会社を買うのか。そして、何が起きたらその投資仮説が崩れたと判断するのか?」

を先に考える。

僕はその方が大切だと思っています。

話題の銘柄ほど、他人の意見ではなく、自分の判断軸を持つ。

それが、長く投資を続けていくための「土台」の一つだと思います。


※本記事は、2026年10月時点で確認できる公開情報をもとに、企業および投資テーマについて筆者の視点で整理したものです。特定の銘柄・金融商品の購入または売却を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。


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